税収面での効果について

 公共投資による経済効果には、事業者による「市民税」納付という直接的効果と経済活動の無限連鎖による景気浮揚効果(ケインズの乗数理論)の大きく二つが考えられます。それぞれについて名古屋市内に本店を置く建設業者と他自治体に本店を置く建設業者との税収面での効果の違いについて考えてみます。

市民税納付について

 ご存知の通り事業者が納付する市民税は、その会社の本店・各支店の従業員の割合に応じて税額が分割されます。今、以下の二社を例にとって市民税の納付額を比較します。

★具体例(以下この二社は資本金一億円以下)★
N社(名古屋市本店・従事者50人・他市町村に事業所なし)
O社(大阪市本店・従事者45人+名古屋市支店従事者5人)

 今期の完成工事は名古屋市発注の土木工事(500,000,000円)のみとします。そして決算書の税引前利益が10,000,000円計上されたとします。市民税の仕組みの詳しい説明は省き、ここでは市民税の法人税割税率は一律に10%とします。

N社に発注した場合の法人市民税

10,000,000円×25%(法人税率)×10%=250,000円
名古屋市以外に事業所がないのですべて名古屋市に納税されます。

O社に発注した場合の法人市民税

10,000,000円×25%(法人税率)×10%×45人/50人=225,000円

他自治体に納税

10,000,000円×25%(法人税率)×10%×5人/50人=25,000円

名古屋市に納税

 となります。このように同じ名古屋市発注の工事を発注しても、受注する事業者の本店所在地によっては名古屋市に納める市民税に大きな差異が生じます。しかも差異はこれだけにはとどまりません。

次のページに進む

ページのトップに戻る